公益社団法人 前橋市医師会

“化学物質過敏症”とは何か

2000年06月01日掲載
青 山 美 子(前橋市医師会)監修

「化学物質過敏症」。そんな病気はこの世にないという医師は多く、多種多様な患者の訴えを、精神的におかしいと思っている人もいます。しかし、私が無農 薬で作った花や木に埋まっている待合室にいても平気な人が、いただき物のバラやランをそっと紛れ込ませておいた途端に、頭痛や腹痛が生じて入れなくなった り、飾った花の前で卒倒したり、せきが止まらなくなったりします。また、その花に面した顔やこ首に赤い発疹が出て、かきむしってしまう赤ちゃんもいます。 花の香りと一緒に何かが蒸散しているとしか思えません。
ある日、わたしの診療室にワックスを塗ったところ、その上に乗った患者の足がひざまで赤くなり、ピリピリして入室できなくなり、後で紫斑が発生しまし た。ほかにも、舌がしびれる、首・肩こり・頭痛のため最後まで点滴が受けられない、発熱する、目が回る、冷や汗をかく、不安でじっとしていられないなどさ まざまな苦情が続出して1日休診。その後診療所をすべて水洗いし、6ヵ所の換気扇をつけっ放しにして、やっと診療を再開することができました。このような 現象を何回も経験すると、ナノグラムやマイクログラムの微量まで感知し、反応している人たちがいるとしか思えません。
例えば、緑豊かな郊外に若い夫婦が新築の家を持ったとします。外の水田では農薬が、果樹園には殺虫剤と殺菌剤、道端・公園では除草剤がまかれます。そし て、今風の住宅は50種を超える化学物質のガス、一般施工でも床下からは白アリ消毒の有機リンのガスが発生。自分でも、ハエ・蚊・ゴキブリに殺虫剤、洋服 に防虫剤、玄関・トイレに芳香剤、おまけにテレビは毎日抗菌剤、脱臭剤、カビ取り剤のコマーシャル。また、太古の海といわれる羊水は、肺より吸収された化 学物質で現実の海の何十倍も汚れ、出て来た赤ちゃんは1ヵ月で全身赤むけの状態となり、1~3歳でぜんそくに移行してしまいます。大人も濃い汚染にさらさ れると、ほんの微量でも反応してしまうようになります。普通の人は何も感じないのに、スーパー・デパートなどに入れず、花屋・八百屋・新築のビル・家屋も 5分が限界。このような「化学物質過敏症」が、子供・若者を中心にじわっと増えています。化学物質には有益と有害の両面があることを、現代社会に生きるわ たしたちは知らなければなりません。