公益社団法人 前橋市医師会

スポーツ外傷~スキー・スノーボード

2000年02月01日掲載
小 泉 慶 一(前橋市医師会)監修

スキー外傷の発生状況はスキー場の整備やスキー用具の改良で、10年前ごろから減少しています。年齢では20歳代が約3分の2を占め、最近は若者や女性が増加しています。

受傷部位は下肢の外傷が最も多く、上肢(母指じん帯損傷・切挫創を含む)、頭部、顔面、躯幹の順です。外傷の発生は、転倒、衝突によることが多く、下肢 の外傷ではスキー 靴の改良でひざへの負荷がかかり、ひざ関節ねんざが増加しています。ひざ関節ねんざの20%に内側側副じん帯損傷がみられ、重症例では十字じん帯損傷や半 月板損傷を合 併していることもあります。単なるねんざと思って放置しておかないで専門医による適切な治療が必要です。受傷直後に患部を安静にして冷やし、弾性包帯で圧 迫し、血しゅの形成を防ぐとともに下肢挙上をしておくことが有効です。近年骨折にも変化がみられます。プラスチック製の深い靴が普及したため、スキー靴の 最上端を支点として下たい骨のブーツトップ骨折が増加してます。半面、このスキー靴の出現により足首が固定されたために、今まで多かった足関節ねんざや踝 部骨折などは減少しています。スキーの転倒時に外傷性肩関節脱きゅうを起こすと、習慣性肩関節脱きゅうに移行することがあるので注意が必要です。

オリンピック正式種目になったスノーボードは、日本ではスキー外傷発生率の4~5倍といわれ、骨折が外傷の第1位を占め、上肢の外傷、頭部外傷が多く報 告されています。スキーでは下肢の外傷が多いのに対して、スノーボードでは転倒して斜面と衝突する上肢の外傷が多くみられ、無謀なスピードの出し過ぎに よって起こっています。また、重篤な頭部外傷は硬膜下血しゅを起こし、死亡事故につながる例が多く発生しています。受傷してから数日後の急な症状悪化も あって注意を要します。このような頭部外傷は多くが初心者・初級者が起こしているのも注目されます。また、スノーボードは簡単で上達が早いというのは間違 いです。人気は高いですが暴走してはいけないといえます。