公益社団法人 前橋市医師会

お年寄りの転倒による大腿骨頸部骨折

2002年05月31日掲載
小 鮒 保 雄(前橋市医師会)監修

 大腿骨頸部骨折は、太ももの付け根の骨折で、お年寄りが寝たきりになる原因の第2位になっています。またある調査では、発生数は日本全国で1987年に5万3,000人であったものが、1997年には、9万2,400人と増加しており、現在では年間10万人を超える人がこの骨折を起こしていると考えられています。
 この骨折の8割以上は、お年寄りの転倒によって起きているため、転倒を未然に防ぐための対策をする必要があります。また、この骨折の根底には、骨がもろくなる骨粗しょう症があります。骨自体を強くし、骨粗しょう症を予防することも必要です。
 転倒しやすくなる原因は加齢以外にも、脳血管障害や心臓病、起立性低血圧による“めまい”や“ふらつき”、白内障などによる視力障害、パーキンソン病や下肢の筋力低下、関節疾患による歩行障害、痴ほうなどがあげられます。これらの病気を適切に管理すれば、転倒はかなり減らせます。
 血圧降下薬や睡眠薬は転倒の危険性を高めることがあるので、適切な服薬指導を受けることも大切です。また、大腿骨頸部骨折の6割は自宅で起きており、手すりの設置、段差の解消、ベッドの設置など、バリアフリーを進めましょう。さらに、予防が難しく、よく転倒してしまう人のために、転倒時のショックを吸収して大腿骨頸部骨折を予防する装具も開発されました。
 また、骨粗しょう症の予防には、栄養・日光・運動が重要です。現在では、骨を強くする薬も開発されています。